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年金分割・情報通知書を迅速に入手する方法ー請求書記入要領も解説

離婚前に、離婚後の生活設計のために情報通知書を取得して年金見込み額を知ることは必須です。特に、熟年離婚を考えている方は、離婚するか仮面夫婦を続けるかの重要な判断材料になるでしょう。

又、年金分割の分割割合(按分割合)で第1号改定者と話合いがつかない時は、年金分割審判(正確には「請求すべき按分割合審判」)を申立てるために、情報通知書は必須書類です。

特に、離婚後2年に近づいている方は、迅速にとる必要があります。2年以内に家裁に審判申立てさえすれば、間に合いますが、審判申立てには、離婚後に取得した情報通知書が必須書類で、情報通知書の取得が律速になります。急いでいる方は、「1申請方法」を精読して下さい。

免許証等、年金手帳、戸籍謄本が情報通知書の取得に必要です。弊事務所では、合意分割手続の一括代行等と共に、戸籍謄本の代理取得を含めた情報通知書の代理取得を付随業務として受託しています。

情報提供請求書の記入要領は、 「3情報提供請求書の記入要領実践編 」を 精読して下さい。

離婚後は他人である元夫の戸籍等の取得方法は、「 4離婚後元夫の戸籍を取得する方法 」を参照して下さい。

1申請方法

郵送での申請は可能ですが、時間節約の点から、年金事務所に電話予約後に年金事務所の窓口で交付を受けるのが一番速い取得方法です。特に、離婚後2年以内に近いタイミングでは、近くの2-3の年金事務所に電話をかけて一番速く予約できる年金事務所に出向いて、情報提供請求書を提出して情報通知書を一刻も早く取得すべきです。
弊事務所のクラインアントの方で、2年の除斥期間終了まで3ヶ月しかない旨、年金事務所に伝えると、3営業日で情報通知書が郵送された実例があります。(申請当日は、やはり、1ヶ月かかると言われたようです。絶対に郵送ではなく、予約をとって対面で請求すべきでしょう。)

年金分割に関しては、年金事務所の管轄はなく、情報通知書も、全国どこの年金事務所でも取得できます。(極端な話、札幌居住の方でも、東京の年金事務所で取得可能です。全国の年金事務所は、コンピュターでネットワークを形成ししていて、同一の年金記録のデータベースにアクセスします。)年金事務所によっては、混雑具合が異なるので、予約については、複数の年金事務所に当るべきです。(経験的には、企業も多くかつ人口の多い地区の年金事務所の方がつながりやすいようです。)

2年金事務所への提出資料

  1. 情報提供請求書
  2. 年金手帳(基礎年金番号記載頁のコピーで可)
  3. 婚姻期間が明らかにできる戸籍謄本
    ・離婚前:現在の戸籍謄本    
    ・離婚後:元夫(夫の氏を称する婚姻をした妻の場合)の戸籍謄本で、婚姻日と離婚日が明記され、元妻が除籍されている戸籍謄本。元夫が離婚後に本籍地を異動している場合は、離婚直後の本籍地の除籍謄本を取得して提出。尚、離婚後に標準報酬改定請求書を提出する場合にも同じ戸籍(又は除籍)謄本が、必要となるので、戸籍係で2部請求するか、年金事務所で原本還付を求めてて下さい。取得方法については、4項を参照。
  4. 本人確認書類(免許証等写真付ID)
  5. 認め印(IT改革で不要になったと思いますが、念の為持参。)

3情報提供請求書の記入要領実践編

  1. 請求方法/請求者基礎年金番号・生年月日・住所(①②欄)
    ・共同請求と単独請求の二つの方法がありますが、通常は単独請求だと思います。

    ・共同請求は、第2号改訂者(年金分割の受け手、通常は妻)と第1号改定者(年金分割の出し手、通常は夫) が共同で申請。書式の「請求者(甲)」欄と「請求者(乙)または配偶者」欄は、第1号改定者でも、第2号改定者でも構いません。

    ・単独請求は、第2号改定者が単独で申請します。離婚前であれば、第1号改訂者である夫には秘密に取得できますが、離婚後の場合は、第1号改定者に対して、年金事務所から取得の事実が必ず通知されます。

    ・離婚後に取得する場合で、年金支給見込み額照会にチェックを入れると相手方(第1号改定者、通常夫)にも情報通知書と同時に年金見込み額が通知されます。相手方が自分の支給額が減ることに驚愕して、合意分割を拒否した例があります。年金見込み額照会は、情報提供請求書を独立に単独で請求できます。独立した年金見込み額照会とした方が無難です。
  2. 「請求者(甲)」欄は、第2号改定者、「請求者(乙)または配偶者」欄は、第1号改訂者を記入。尚、第1号改定者の基礎年金番号や住所が解らない場合は、「不明」と書けば受理されます。年金分割手続である標準報酬改定請求書を提出する時も全く同様です。(年金事務所には情報があります。但し、配偶者である請求者には、基礎年金番号と住所は秘匿されます。)
  3. 婚姻期間等(③欄)
    事実婚でも年金分割は可能ですが、(③の1-イ・ウ)平成20年4月1日以降に国民年金保険の第3号被保険者であった期間の3号分割しかできません。

    事実婚の専業主婦であっても、平成20年3月31日以前の期間は合意分割の対象なので年金分割できませんし、共働きの事実婚の場合は、合意分割しかないので、全く年金分割ができません。尚、事実婚を証する住民票等の証拠書類が必要です。不合理な制度設計だと思いますが、いかんともし難いです。
  4. 対象期間に含めない期間(④欄)
    「第1号改定者と離婚、別人と再婚又は事実婚、第1号改定者と再々婚して離婚」というあまり多くはないケースを記入する欄。殆どの方は、「いいえ」だと思います。
  5. 請求者(甲)/配偶者の婚姻期間に係わる資格記録(⑨欄、⑪欄)
    第2号改定者と第1号改定者の厚生年金の詳細な加入履歴を記入する欄です。年金事務所でコンピュータから打ち出すので、事前には記入不要です。但し、本人確認を含めて、本人と配偶者の直近の勤務先名称は聞かれます。答えられるようにして下さい。
  6. 請求者(甲)の年金見込み額照会(⑩欄)
    チェックを入れて、本人が50才以上であれば、情報通知書と共に、年金見込み額が通知されます。離婚前でも、年金見込み額は通知されます。按分割合は50%として下さい。尚、支給見込額は、情報通知の請求手続と独立して請求できます。離婚後に情報通知書と共に照会する場合は、相手方にも年金支給見込額が通知されてしまいます。弊事務所のクライアントの経験からは、年金見込み額の照会は、情報提供請求書の中では行わず、独立の手続で行って相手方に自動的に年金見込み額が伝わらない方がいいようです。

4離婚後元夫の戸籍を取得する方法

離婚後は他人になりますが、本人が除籍されている戸籍謄本は、本人の資格で戸籍謄本を取得できます。しかし、元夫が離婚後本籍地を異動している場合、元妻の名前が入っていない戸籍謄本の取得は、大変です。戸籍謄本又は住民票は、元夫の生存を証明する資料として、年金分割に必須ですが、権利の取得・義務の履行を理由として、年金事務所に対する合意分割の請求であることを説明し、公正証書抄録謄本(プラバシー保護のため、離婚合意と合意分割の条項だけが記載された公正証書謄本)や審判書、年金機構の「年金分割に関する請求をする時にお持ちいただくもの」という資料も持参して下さい。

尚、家庭裁判所での年金分割審判の申立てには、離婚後に取得する情報通知書の添付が必須です。

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