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遺産分割協議による不動産の相続登記や、家庭裁判所への遺産分割調停申立には、被相続人の出生に遡る戸籍の取得が必須です。行政書士は、当事者からの委託があれば、職務権限で戸籍取得ができます。
遺産分割協議の前提として、被相続人の財産目録を作成する必要があります。不動産については、都県税事務所なり政令指定都市の区役所で、固定資産の名寄台帳から管内にある被相続人名義の不動産全部を調査できます。相続人からの委任状があれば、当事務所で代理取得できます。預貯金については、各相続人が単独で、取引履歴を取得できます。
1.相続人調査(戸籍謄本・除籍謄本)
被相続人の出生に遡って、すべての戸籍・除籍謄本をとらないと相続人の特定ができません。離婚した前妻の子とか、認知した子がいる可能性もあります。又、兄弟姉妹が相続人となるケースは、代襲者も含めた膨大な戸籍謄本・除籍謄本の取得が必須です。戸籍制度の改正前の戸籍である改製原戸籍も必ずとる必要があります。行政書士は、相続人からの委託があれば、戸籍謄本・除籍謄本のみならず住民票の写を自らの職務権限で取得可能です。
改製原戸籍は、「かいせいげんこせき」が正しい読み方ですが、通常は「現戸籍」と区別するために、「かいせいはらこせき」と呼ばれます。昭和に2回の大きな戸籍改製がありましたが、第1回目の「昭和32年の改正」前の戸籍のことを言います。家督制度を廃止した戦後の民法改正を反映して、家単位に編成された戸籍を、夫婦と子だけの戸籍に編成し、3代戸籍の禁止した大改製です。2回目は、「平成6年の改正」で紙戸籍から、電算化による電磁気記録に変更しました。
2.被相続人名義の不動産調査
同一都道府県又は政令指定都市内の不動産であれば、都道府県税事務所又は政令指定都市の区役所で、固定資産の名寄台帳から管内にある被相続人名義の不動産全部を調査できます。
3.預貯金の取引履歴
預金契約上の地位は共同相続人全体に引き継がれますが、被相続人の取引履歴等の開示を求める権利は、 相続人が単独で行使できるとの最高裁の判例があります。最近は、メガバンクで、被相続人名義の全支店にある全口座の取引履歴を開示する例が多いようです。 ペイオフとの関係から、各預金者の名寄せができる事と関係があるかも知れません。