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別居と婚姻費用ー別居を長くしても自動的には離婚できません。

別居は、「離婚への準備期間」及び「円満・復縁のための冷却期間」として、二面的に捉えられます。

法的には、別居は、「婚姻が破綻状態にある」ことの客観的証拠とされます。
一定期間の別居状態が継続すると、破綻の現状を重視する破綻主義離婚法が判例となったため、離婚訴訟で、離婚が認容される場合があります。

しかし、破綻主義は、離婚訴訟における法規範にしか過ぎません。別居を長くしたら自動的に離婚できるような制度は、日本にはありません。破綻主義の意味をそう誤解している人は多いようですが、離婚訴訟を提起しない限りは適用されません。離婚訴訟のように、緊張や怒り等の精神的疲労度が激しく、膨大な費用と時間を要する訴訟手続上の話でしかありません。別居期間がどれだけ長くても、互いに大人の人間として向き合い、粘り強い話合いを通じて、協議離婚するのが基本です。

別居前に、婚姻費用の算定表に準拠して、別居中の生活費として夫婦間の収入格差を是正するように婚姻費用が定めるための協議が必要です。

1.別居と生活費(婚費計算方法)

別居による生活費は、法的には「婚姻費用の分担額」と呼ばれ、略称で「婚費」(コンピ)と言われます。その額は、別居の詳細な事情毎に異なります。

1.1婚費(婚姻費用の分担額)とは?

収入の多い配偶者(夫と仮定)は、 法的に、別居している妻と子供に対して「婚姻費用の分担額」として生活費を支払う義務があります。夫婦間における婚姻費用の分担義務を定めた民法760条と、夫婦間の協力扶助義務を定めた民法752条が根拠です。 別居していても、法的には依然「夫婦」であることに留意して下さい。

算定表の婚姻費用の分担額は、夫の生活水準と同等レベルの生活を妻と子供に保障すべきという考え方を基本に定められています。 「生活保持義務」と言われ、子どもの養育費と同じ考え方です。 

家庭内別居の場合でも、婚費を支払う義務があります。但し、水道光熱費等、完全別居に較べて節約される費用については、算定表の婚費額より減額されます。同一の建物内で別居していても、生計を別にしていれば、婚費を支払う必要があります。

1.2婚姻費用と算定表

算定表の入手方法と見方・読み方は、養育費ページの下記リンクを参照して下さい。

2019年12月23日に、「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」が公刊されて、 裁判所の算定表は改訂されました。大略、養育費・婚姻費用とも結果的に上方改正するものでしたが、変更内容などの詳細については、 本webの下記リンクを参照して下さい。

1.3算定表によらない決め方

二人の話合いのみで、生活費を決めて何ら問題ありません。
但し、一般的には、家庭裁判所が、養育費と共に公表している婚姻費用の「算定表」に沿って決める場合が多いでしょう。

1.4婚費算定表の考え方

婚姻費用を支払う側(義務者)と婚姻費用を受け取る側(権利者)の双方の税込み年収が基準です。

税込み年収から、税・社会保険料等の公租公課、被服費・交通費等の職業費、住居費・保険料等の特別経費の3つの必要経費を控除した額 (=基礎収入)が、婚姻費用の財源とする。義務者が収入を得る必要経費をまず確保した上で計算するので、義務者が生活できないような婚費額にはならない原理と仕組みがあります。

成人の生活費指数を100、15才未満の子供は62、15才以上の子供は85として、別居世帯に割り振る生活費を計算します。

1.5婚姻費用分担額の計算例

前提

  • 夫(義務者):年収800万
  • 妻(権利者):年収200万
  • 子:2人(10才・16才)母と同居

権利者・妻と義務者・夫の基礎収入

800万×0.40=320万
200万×0.43=86万

夫の0.40、妻の0.43は基礎収入比率です。基礎収入比率は、給与所得者と自営業者別に税込収入ブラケット毎の比率が裁判所から公表されています。

妻世帯の月間生活費

婚姻費用分担額

妻世帯の生活費:24.08万/月 (1)

妻の基礎収入:86万÷12=7.17万/月 (2)

婚姻費用=(1)-(2)=16.91万/月

2.婚姻費用と調停

2.1婚費調停

夫と妻の話合いで生活費が決められない場合、家庭裁判所に婚姻費用の調停を申し立て、裁判所の関与の下で、分担する生活費の額を決めることができます。申立先は、夫(=相手方・義務者)の住所地を管轄する家庭裁判所。妻が遠方の実家で別居している場合は、夫の居住する場所での調停となります。

婚姻費用の調停は、身分の変更が関係しない経済事件なので、離婚調停とは異なり、 代理人(=弁護士)に全て調停に出席してもらって、調停を成立させることが一応は可能です。但し、最初の回位は、妻本人が出席して事情を調停委員に説明した方が、調停はより効率的に進むでしょう。

調停で合意が成立しない場合、調停委員会を構成する裁判官による審判(=裁判)に移行し、強制的解決が計られるのが特徴です。 別表第二事件として、養育費、面会交流、財産分与、親権者変更等の調停と同じ扱いです。尚、いずれも審判移行して裁判をすると言っても本人だけで対応することが十分に可能です。

婚姻費用の支払の遡及時期は、原則として申立時です。未払いの婚姻費用は、一応、 離婚調停や離婚訴訟時に財産分与対象とすることも可能ですが、その難度は高く、離婚訴訟では、せいぜい1-2年の未払い婚費が対象とされ請求は制限されるようでう。

婚費の調停は、合意できない場合や相手方が出席しない場合は、申立人の便宜の為に、 「調停に代わる審判」をまず行い、異議申立てがあった場合に、正式審判に移行する手続進行が最近は多いようです。

2.2婚姻費用と住宅ローン返済

妻世帯が住む婚姻住宅のローン返済を夫がしている場合、住宅ローンの返済を考慮して、婚姻費用を減額するべきかという困難で且つ頻繁に起きる問題があります。事情によって異なりますが、夫が一人で別居して、妻と子供が住宅ローン対象の家に居住し、ローン返済が専ら夫のみがしている場合は、 婚姻費用をある程度額減額する事が、実務の主流です。特に、調停の場合はそうなります。返済額そのものを減額するのは極めてマレですが、複雑な計算過程となります。

2.3相手方が出席しない・不十分な収入証明資料しか出さない場合

相手方が調停に出席しなかったり、出席しても不十分な収入証明資料しか提出しない場合の措置については、養育費ページへの下記リンクを参照して下さい。

2.4有責配偶者の婚費請求

妻が不倫して子供と共に別居している場合には、夫が婚費の支払を拒む場合が多く、調停は難航することが大半です。

調停では、有責性の有無に関わらず、調停委員会が、妻の経済力を考えて、婚費を支払わせる方向で調整に注力する場合が多いと思います。しかし、結果的に合意ができず、審判・裁判に移行する場合も多いようです。審判では、裁判官の裁量次第ですが、婚費は、夫婦の同居協力義務を定めた民法752条と760条を根拠としているので、 別居に至った原因が、不倫等もっぱら妻側にある場合は、妻の生活費部分の請求は権利の濫用として認めず、 子供の養育費部分だけを認める裁判例も少なくないことに注意して下さい。( 福岡高宮崎支平17.3.15決定 家裁月報58巻3号98頁、東京家審平20.7.31 家裁月報61巻2号256頁)

3.別居と離婚

3.1別居と離婚の法的差異

1.1で前述したように、別居している場合、長期間であるか短期間であるかに関係なく、法的には夫婦という身分関係が継続しています。従って、婚姻費用として、子ども以外に、配偶者の生活費を分担する他方配偶者の義務が継続します。

別居している一方の配偶者が死亡した場合、死亡配偶者の財産に対して生存配偶者は、法定相続分比率で相続する権利及び遺留分減殺請求権を保持し続ける所が、離婚と大きく異なります。 法定相続権や遺留分権の法的性格は、別居によって何らの影響も受けません。

厚生年金・共済年金についても、一方の死亡により他方は別居していても遺族年金(給付額は本人の3/4)の受給資格が発生して、別居の有無は厚生年金法の資格等に影響しません。

3.2破綻主義離婚法

従来は、民法770条1項に定める法定の離婚原因(1号 不倫、2号 悪意の遺棄、3号 3年以上生死不明、 4号 重度の精神病、5号 その他婚姻を継続できない重大な事由(DVなど) がないと離婚訴訟で離婚が認容されませんでした。自らが不倫等の離婚原因を作った上に別居して不倫相手と重婚的内縁関係を継続してきた有責配偶者から離婚請求は「踏んだりけったり」の不徳義,得手勝手な離婚婚請求(昭和29年最高裁判決)とされ最高裁で棄却されててきました。

しかし、昭和62年に、最高裁は判例を変更して、離婚原因として「修復しがたい婚姻の破綻」という事実も重く見る破綻主義の離婚法の転換すると同時に、有責配偶者の離婚請求を認める積極的破綻主義を導入するようになりました。消極的破綻主義は、婚姻の破綻を離婚原因と認めるが、有責配偶者からの離婚請求を認めない考え方です。いずれの考え方も、「婚姻の破綻」の有無を別居期間という外形的・客観的指標に求めると共に、夫婦共同生活の実体がなくなっているのに戸籍上だけの婚姻状態を長期間放置するのは不自然だという考え方に立っています。

「婚姻の破綻」は、5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」の一つにであるとも考えらるし、双方に有責要因がなくても離婚を認容する考え方に転換したとも捉えられます。人間生活の中で事実の積み重ねがもつ重さを無視し得ないということだと思います。欧米では、破綻主義の離婚法が一般的であると言われています。

3.3裁判規範としての破綻主義

破綻主義離婚法は、離婚訴訟だけで適用される裁判規範に過ぎません。協議離婚には全く適用されません。一定期間別居すると自動的に協議離婚できるというような滅茶苦茶な制度は日本にはありません。この誤解をされている方は男女を問わず相当に多いようです。

破綻主義は、離婚訴訟を提起した時に裁判官がよって立つ規範に過ぎません。
下記の通り、離婚訴訟まで進むと膨大な時間と費用の出費を迫られる上に、怒りや緊張などから精神的疲労・消耗が激しいことに留意すべきです。離婚訴訟は、「一番汚い訴訟」と言われています。別居期間がどれだけ長くなっても、互いに大人として誠実に向き合い、粘り強い話合いを通じた協議離婚を強くお勧めします。それこそが、離婚から必然的に生じるトラウマを極小化する道です。離婚調停は、話合いによる合意が基本で破綻主義は全く適用されないことは言うまでもありません。

調停前置主義なので、家事調停を経てからでないと離婚訴訟は提起できません。離婚訴訟においても、一審の家庭裁判所では、裁判官による実質的調停である和解勧告があってから判決に進む場合が多く、その判決の確定には、相手が高裁に控訴したり時には最高裁に上告したりすることもあるので相当の時間がかかります。調停から一審の判決まででも、最低でも2年程度は必要と考えるべきでしょう。

時間の要素以外に、養育費や財産分与などへの成功報酬も含む弁護士費用の出費額も重大な問題です。最も大変なのは、やはり、訴訟の進行過程でご本人のかかえる精神的疲労やストレスだと思います。訴訟はゲームで、その勝負はいかに効果的に裁判官の心証に訴える「攻撃・防御」の弁論書・陳述書を書くかで決まります。(「攻撃・防御」は民事訴訟法にも使用されている法律用語です。)。迫力ある書面を書くには、本人の下書きは必須で、その過程で昔のイヤな出来事も思い出してしまうでしょう。弁護士は下書の内容を膨らませて迫力のある書面を作成します。「書面作成は1%の真実を膨らませること」と評するのを聞いたことがあります。そうして出来た書面は相手にも手渡され読むことになります。相手も弁護士経由で攻撃・防御の書面を書いてきます。「相手はウソばかり書いてくる」という怒り・イライラを双方がもつ場合も多いようです。

3.4別居を放置したままにするか?

別居を長くすれば自動的に離婚が成立するような制度がないことは前項の3.3で説明しました。しかし、相手が離婚訴訟を選択した場合は別です。離婚訴訟で離婚が認容される別居期間についての明確な基準はありませんが、有責配偶者の離婚請求の場合は8ー10年の別居、 性格の不一致など双方とも無責な場合は3-5年程度の別居が目途と言われているようです。

離婚訴訟で離婚を認容されるように、別居という実績作りをする場合があるのは事実です。別居して離婚を拒否しつづけても、離婚訴訟手続では、どこかの時点でタイムリミットが来ることもあり得ます。協議離婚や調停手続ではノーと言えば離婚は成立しませんが、離婚訴訟という手続では、永遠に離婚拒否はできないのも事実です。

離婚訴訟でのタイムリミットが来る前に、裁判所外での協議や調停などで有利な離婚条件を勝ち取って、その時点で 離婚するという考え方をする方もいます。他方、感情面などから、裁判所外での離婚に合意できないと申出を拒否して、結果的に離婚訴訟に進む方もいます。ご本人の考え方次第です。

3.5婚姻費用と破綻主義

離婚訴訟で、長期の別居を理由として離婚が認められる絶対的条件は、 別居中の婚姻費用をきちんと支払っている事です。信義誠実の原則(信義則)の遵守が強く求められます。その意味で、婚姻費用の支払は、従来以上に重要な意味をもっています。

3.6別居と財産分与

別居以降は夫婦の協力扶助がなくなり共有財産が形成されなくなるので、離婚時に実行される財産分与の基準時は別居時点とするのが通説・判例です。財産分与ページの下記リンクを参照して下さい。

3.7別居と離婚準備

別居による時間稼ぎを相手がしている場合は当然に、 円満も見据えた和戦両用の時も、財産分与に備えた調査などの離婚準備が不可欠です。熟年離婚と離婚個サルティングページの下記リンクを参照して下さい。

  •  離婚意思を固めるステップ
  • 離婚条件交渉のための調査

4.別居と面会交流

4.1監護者の指定

別居に当たり、どちらの親が子どもと同居して子どもの面倒を見たり養育するか決める必要があります。監護は「かんご」と読み、監督保護の略語です。

同時に、同居しない親との面会交流条件についても、「別居の合意書」に定めるべきでしょう。

4.2別居と面会交流

別居中の子供は、宙づりの状態におかれ、精神的に不安定になりがちです。
同居していない親と子どもの面会は、子どもの不安を和らげたり、つらさを忘れるきっかけになる場合も多いことに留意すべきでしょう。

離婚していないので共同親権中であり、非同居親も親権をもちますが、別居中の面会交流の条件を合意するのは、 子供と離れて暮らしているという現実に即して、実務的に子どもの利益を考えたやり方と言えます。(共同親権という理屈に振り回わしても、法的に得るものは少ないうようです。)

4.3別居中の面会交流調停

同居親が面会を拒否したり、面会がうまくいかない場合は、別居中でも、家庭裁判所への面会交流の調停申立てが可能です。申立先は、子や相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。

5.別居先の秘匿・DV等

5.1とにかく逃げたい

各都道府県の「ウイメンズプラザ」なり、「女性相談センター」に電話で相談して下さい。
東京ウイメンズプラザ:03-5467-2455
東京都女性相談センター:03-5261ー3110

警察相談専用電話(TEL9110)も、各自治体の相談先を教えてくれます。DVやストーカー被害は、各警察署の生活安全課でも対応しています。

各自治体の窓口はDVシェルター等への収容を検討する筈です。「ウイメンズプラザ」「女性相談センター」には、必ず顧問弁護士がいて、離婚その他の法律相談を受け付けています。DVシェルターにいる場合は、子どもとの面会は、調停でも相当程度制限できるようです。

5.2別居先の秘匿

市区町村の家庭問題担当課や女性支援担当課等に申請すれば、 住民票や戸籍の附票を非開示扱いとする「支援措置」を受けることが可能です。

婚姻費用や離婚調停等の申立てをする場合でも、家庭裁判所に、「住所の非開示申出書」を提出すれば、別居先を相手方には絶対に伝えられない措置がとられます。
申立書の住所としては、同居時の住所を使い、調停調書等にもその住所を記載すれば、強制執行も可能です。

電話・メールでのご相談

ご相談は面談が原則です。電話・メールで、ご相談内容と面談希望日をお伝え下さい。
すみませんが、無料相談は受け付けておりません。

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    ●お仕事を休まずに相談できるように、予約していただければ、土日祝日も面談に対応します。

    ●離婚や相続などの家族問題は、一つ一つが独自の内容をもっていて、一律には扱えない事を経験から熟知しています。

    ●特に、離婚は、感情的混乱の渦中にあることから、問題を筋道立てて話すことが、とても難しいのが通常です。 ご本人の怒りや悲しみの感情を和らげながら、問題を整理していきますので、準備など必要ありませんのでご安心下さい。ご本人が自分の問題を理解し自ら納得するような相談を心がけています。

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