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元調停委員・行政書士夫婦が離婚・相続の解決をお手伝いします。

財産分与請求権の発生時期・相続性

財産分与請求権の具体的内容は、実務では、離婚前に書面等で合意する場合が通常ですが、離婚届受理や調停成立等で離婚が成立しない限りは、財産分与請求権は発生せず相続の余地はありません。

離婚協議や離婚調停中に財産分与の具体的内容を協議中に一方当事者が死亡した場合は、財産分与手続は終了して、死亡配偶者名義の財産に対して他方当事者を含む相続人による相続手続が開始します。生存配偶者名義の財産に対しては、死亡配偶者の相続人は一切手をつけれません。

離婚後であるが、財産分与前に、財産分与請求者が死亡した場合、相続人に財産分与請求権が相続されるかどうかは問題になります。請求権に相続性があるかどうかは、その権利性の程度によって判断されます。

離婚後であっても、財産分与の請求をしないで、抽象的権利にとどまっていた場合は、権利性が希薄だとして、相続性が否定されるのが実務上の通説です。

権利者が財産分与請求したが、協議や審判等前で、具体的権利として特定される前の段階であっても相続性は認められます。勿論、離婚後2年の除斥期間内に財産分与請求しなければ、相続されません。配達証明付き内容証明郵便で、財産分与請求をすべきでしょう。

やはり、離婚前に財産分与の合意書面を作成しておくべきです。離婚後、直ちに権利が具体化され相続性も生じます。権利者は、離婚前であれば、離婚という切り札をもっているので、より交渉力が高まり、結果的に有利な財産分与が実現できる場合が多いようです。

財産分与請求権の発生時期

財産分与請求権は、離婚によって発生するもので、離婚前に当事者が死亡すれば、離婚協議や離婚調停中で財産分与が請求されていても、財産分与請求権という権利は発生しません。以下の裁判例(東京高決平16-6-14 家裁月報57-3-109)を参考にして下さい。

【事案の概要】

  1. 抗告人X2は、亡申立人X1と死別した前妻との間の子。
  2. 亡X1は、昭和51年に後妻Yと再婚したが、平成12年6月に、Yとの離婚及び財産分与を求めて離婚調停を申立てた。(夫から妻への財産分与請求)
  3. 調停係属中に、亡X1は平13年1月16日に死亡。
  4. 亡X1は、平13年1月10日に公正証書遺言をして、①Yを相続人から廃除②Yへの財産分与請求権を含む一切の財産を子に相続させる旨の記載があった。
  5. 亡X1の公正証書遺言に基づいて、X2は、Yに対するX1の財産分与請求権を相 続したとして、Yに財産分与を求めた。(X2は、X1の相続人であるが、Yの相続人ではないので、X1の財産分与請求権の相続を主張して、Y名義の財産分与を求める以外は、Y名義財産には一切手のつけようがないことに留意)

【裁判所の判断:X2の請求を棄却】

民法は、法律上の夫婦の婚姻解消時における財産関係の精算及び婚姻解消後の扶養については、離婚による解消と当事者の一方の死亡による解消とを区別し、前者の場合は財産分与の方法を用意し、後者の場合には相続により財産を承継させることでこれを処理するものとしていると解するのが相当である。したがって、離婚が成立するより前に夫婦の一方が死亡した場合には、離婚が成立する余地はないから、財産分与請求権も発生することはないものである。

そのことは、夫婦の一方の死亡前に、その者から離婚を求めて調停が申立てられ、調停申立ての趣旨の中に財産分与を求める趣旨が明確にされていた場合でも同様である。

財産分与請求権の相続性

離婚後に、財産分与前に、権利者が死亡した場合、財産分与請求権が相続されるかどうかは、その権利性の程度によって異なる。

財産分与請求権の権利性の段階は以下の3つに分かれる。

  1. 離婚によって抽象的な財産分与請求権が発生した段階
  2. 権利者が財産分与を相手方に請求したが、未だ具体的な権利の形成に至っていない段階
  3. 協議・裁判等で具体的権利内容に形成された段階

2以降であれば、相続性を肯定できるというのが裁判例。
「権利者がこれを相手方に請求した段階となれば、その請求権は、裁判所が審理によって判断するだけであるので、審理前に相当程度具体化しているということができる。そこで、この段階に至った場合は、相続性を肯定してよい。」(名古屋高決昭和27-7-3)

扶養的財産分与請求権と慰謝料的財産分与請求権

扶養的財産分与は、扶養請求権の一身専属性を理由に、相続の対象にならないという見解もあるが、扶養的要素は、純粋に扶養という訳ではなく、補償的意味があるとする立場から、相続性を肯定すべきという意見もある。

慰謝料的要素が財産分与として請求されていた場合は、不法行為による損害賠償請求権は実体上発生した権利なので、相続対象となるのが確立した判例である。(最判昭42-11-1)

参照資料:「離婚に伴う財産分与ー裁判官の視点に見る分与の実務ー」松本哲泓著(新日本法規出版、2019年8月)

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