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相続放棄の方法ー兄弟姉妹・直系尊属の場合

被相続人が、生前に自己破産の手続をせずに多額の負債を負って死亡した場合は、相続人にとって、相続放棄は必須の手続です配偶者や子など第一順位の相続人は被相続人をよく知っている場合が多いので、すぐに相続放棄するでしょう。しかし、第二・第三順位の相続人である兄弟姉妹や父母にとっても他人ごとではありません。

相続放棄によって、配偶者・直系卑属は、初めから相続人にならなかったものと見做されてしまうことから(民939条)、配偶者や子らの相続放棄によって兄弟姉妹や父母等の直系尊属が、心ならずも、相続人となってしまいます。とても、悩ましくて、ややこしい事態が発生してしまいます。

第一順位の相続人である配偶者や子などの相続放棄により、父母等の直系尊属(第二順位の相続人、民889条1項1号)が相続人となてしまい、直系尊属が既に死亡している場合は、兄弟姉妹(第三順位の相続人、民889条1項2号)が、相続人になってしまいます。兄弟姉妹も直系尊属も、早期に相続放棄の手続をして自分の身を護らなければいけません。

第一順位の相続人である配偶者と子などが全員相続放棄している場合は、まず債務超過以外の原因は考えにくいので、相続人となってしまった兄弟姉妹は、まず相続放棄すべきでしょう。(配偶者、子がいない場合で、て兄弟姉妹が相続人となる場合は、通常の相続と同じで、債務超過でない場合が多いかと思いますが、よく調べてください。兄弟姉妹は、どうしても生活関係が薄くなるので、被相続人の経済状況が解りにくい場合もあるので気をつけて下さい。)

配偶者や子等の第一順位の相続人は、被相続人の死亡を知ってすぐに相続放棄することができますが、兄弟姉妹・直系尊属の場合は、 前順位者が相続放棄するまでは、相続放棄の申述はできません。 更に、相続放棄の申述書に添付する資料は、被相続人の出生から死亡までの一貫した除籍謄本等の提出が必要など、配偶者や子などに比べてより詳細な戸籍資料の提出が求められ、戸籍収集の時間などで相続放棄の困難度がより高まります。

相続放棄等のための熟慮期間の起算日は、①相続開始の原因となる事実(死亡等)及び②死亡等により自己が法律上の相続人となった事実を知った時とするのが確立した判例なので、先順位者の相続放棄を知った時や、相続債権者からの催告書や支払通知の到達日などから熟慮期間が進行します。従い、兄弟姉妹等の場合は、配偶者や子らの先順位者の相続放棄を知った時又は債権者から催告を受けた時から3ヶ月以内であれば、相続放棄の手続ができますが、戸籍類の収集も含めて、かなり慌てて手続をすることになる場合が多いようです。勿論、熟慮期間は伸張もできますが(民915条但書)、家庭裁判所への審判申立が必要です。

被相続人の債務、特に保証債務は相続開始後かなりの時間が経過してから判明する場合も少なくなく、家裁の相続放棄受理審判で却下された後の高裁への抗告審や家庭裁判所で受理された相続放棄申述の有効性をめぐって相当数の抗告及び訴訟が提起されています。

対審構造(双方当事者が反対の主張を行って裁判所が判断を下す手続)をとっていない家裁での相続放棄受理審判は、訴訟での有効性を保証されておらず、債権者との訴訟でその有効性が否定される場合もあります。(訴訟手続用語で「既判力がない」と言います。)抗告審や訴訟では、起算点を、債務を知った時期等に遅らせる等、例外措置が認容される場合があります。

例外措置をとる基準については、昭和59年の最高裁の判例(最二判昭和59.4.27)がリーディングケースとなっています。この判例を限定的に捉えるか、非限定的に捉えるかで両説があります。(最高裁は限定説をとっていると主張する向きもあるようですが—)相続放棄申述の受理審判では、できるだけ受理する方向で扱う非限定説がとられ、訴訟では限定説がとられているとの説もあります。実務的には、家庭裁判所では殆どの相続放棄申述が受理されているようです。

しかし、原則は、自己のための相続の開始があったことを知った時から3ヶ月です。仮に訴訟に勝ったとしても、莫大な時間と弁護士費用を要します。危険を感じたら、まず熟慮期間の伸張をして、よく調査してから、伸張期間内に、相続放棄の申述をするか承認の選択をすべきです。

兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、1代限りの代襲相続があるので兄弟姉妹の子(被相続人から見れば甥・姪)までが相続人となって、かなりの人数の相続人の相続放棄が必要となるため、全員が期間内に適法に相続放棄できるか否かはかなり問題です。特に甥・姪の場合は、被相続人及びその配偶者・直系卑属とのつきあいが薄くなっている場合も考えられ、必要な戸籍資料の収集に相当な困難を生じる場合がある場合もあるようですし、そもそも叔父叔母の経済状態を知らない場合も多いと思います結果的に、自分には関係のない債務履行を泣き泣き引受けなければならない悲劇が生まれる場合もあるようです

直系尊属・兄弟姉妹には、被相続人の死後すぐに予備的な相続放棄することを認めるなど、制度面での改正をすべきと強く思います。(相続放棄の効果は、前順位者全員が相続放棄した後に効力が生ずるとすれば、何ら法的な齟齬は生じません。)

期間内に相続放棄を確実に終えるためには、まず相続放棄申述書本体だけを3ヶ月内に提出さえすれば、とりあえず相続放棄は受理され、添付資料は追完(ツイカン)資料として後で提出できます。追完という手法で時間稼ぎはできます。(さはさりながら、被相続人の住民票の除票と除籍謄本程度は、申述書と共に提出すべきでしょう。)

先順位者が相続放棄したかどうかは、家庭裁判所に「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」をすることによって確認できます。申請書の被相続人等目録には全ての相続人をもれなく相続人を掲載し、戸籍資料と共に相続関係図を作成して提出する等相当に煩雑な手続です。尚、相続人をもれなく把握するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍資料を取得する必要があります。結果的に、とても労度のかかる手続ですが、被相続人の兄弟姉妹等が期限内に相続放棄するためには、被相続人の死亡後3ヶ月後位を目途に、照会申請をせざるを得ないでしょう。

相続人の順位

  1. 配偶者(常に相続人、民890条)
  2. 子等直系卑属(第一順位の相続人、代襲は2代後の曾孫迄、民887条)
  3. 直系尊属(第二順位の相続人、民889条1項1号)
  4. 兄弟姉妹(第三順位の相続人、代襲は1代後の甥姪迄、民889条1項2号)

法定相続分は、配偶者と直系卑属の場合は各2分の1、配偶者と直系尊属の場合は、配偶者3分の2と直系尊属3分の1、配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者4分の3と兄弟姉妹4分の1。(民900条1~3号)

相続放棄の方法

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出する。

必要資料

  1. 相続放棄申述書:相続放棄申述を受理する審判の申立書です。裁判所に受理を求める審判(家事事件手続法別表第一事件)で、財産分与審判等対審構造をとって当事者が対立して争う性質の事件(別表第二事件)とは異なります。裁判所の審判の結果は、「受理」か「却下」で、却下の場合は、高等裁判所に即時抗告して異議申立てができます。

    相続放棄申述書記載例(出所:東京家庭裁判所HP)
  2. 住民票除票・戸籍資料等
    【第二順位者ー直系尊属】
    ・被相続人の住民票の除票→管轄家庭裁判所の確認
    ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本→法定相続人の確定
    ・申述者の現在の戸籍謄本(3ヶ月以内のもの)
    【第三順位者―兄弟姉妹】
    ・被相続人の住民票の除票→管轄家庭裁判所の確認
    ・被相続人の出生から死亡までの一貫戸籍謄本→法定相続人の確定
    ・被相続人の直系尊属(父母)の死亡の記載のある戸籍謄本(前記一貫戸籍の中に入っている場合は不要)
    ・申述者の現在の戸籍謄本(3ヶ月以内のもの)
  3. 本人確認資料(運転免許、保険証)及び認め印

費用(2021年現在)

  • 収入印紙:800円、郵券(切手):84円×4枚、10円×4枚、計376円分

相続放棄申述書等の提出方法

相続放棄申述書に収入印紙を貼付し、戸籍書類等と前記郵便切手を同封してを家庭裁判所(支部)家事受付係に郵送する。(家裁に直接出向くことは通常は不要。しかし、複雑なケースでは、別途家裁から照会があったり出頭要請がある場合もあり。)

海外居住書も、郵送で手続できるので、わざわざ帰国して出頭する必要はない。但し、裁判所は海外に書類を送付・送達しないので、兄弟等日本国内のを送達場所とする「送達場所等届出書」を提出する。(1の送達場所として(4)のその他の場所を選び、2に兄弟等の氏名と関係を記す。)

送達場所等届出書 (出所:広島家庭裁判所HP)

尚、本人は申述書提出日の3ヶ月以内に取得した本人の戸籍謄本は必須の添付書類であるが、他の兄弟等が被相続人の除票・除籍謄本その他の戸籍謄本を提出している場合は、「その他の戸籍等の必要書類は、弟○○○○の添付書類を参照下さい。」とのメモ書きを添付するだけでよい。

相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会

相続放棄や限定承認は、手続した相続人の戸籍等には一切公示されません。公示手続に代わる制度として、当該相続人が家庭裁判所で相続放棄・限定承認の手続をしたか否かを家庭裁判所に照会できる手続制度があります。

相続人と相続債権者(被相続人の債務の債権者等)が照会することができます。相続人は、照会手続で自分より前順位の相続人全員が相続放棄したことを知り、自ら相続放棄する時期が来たことを知ることができます。相続債権者等の利害関係人は、どの相続人に債務履行義務があるか確定するためなどの目的で照会することができますので、兄弟姉妹等の第三順位の相続人に、思いもよらない債権者から債務履行を促す催告書が送付されてびっくり仰天して慌てまくることはよくあるようです。

期間の伸張や相続放棄申述手続と同様に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で手続するが、相続放棄申述等を扱う事件係ではなく、記録を取り扱う以下の係で申請する。

  • 東京23区:東京家庭裁判所家事訟廷記録係 03-3502-5337
  • 横浜市、鎌倉市等:横浜家庭裁判所家事訟廷庶務係 045-345-3462
  • 横須賀市、逗子市、三浦市等:横浜家庭裁判所横須賀支部庶務課 046-825-0569

必要資料

  1. 相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書:被相続人等目録には、相続人が女性の場合は、旧姓と新姓を念の為に併記するのが安全サイド
  2. 被相続人の住民票除票(本籍地付)
  3. 照会者本人の住民票(本籍地付)
  4. 照会者と被相続人の身分関係を確認する戸籍資料(相続人の場合は改製原戸籍等、利害関係人の場合は、金銭消費貸借契約書等)
  5. 相続関係図(相続人の身分関係、手書きでOK)
  6. 本人確認資料(運転免許、保険証)及び認め印

戸籍資料等は、この照会手続に限り、コピーを添付すれば、原本還付が可能で、還付された戸籍資料等はそのまま相続放棄申述等につかえます

費用

  • 無料

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