離婚や財産分与、慰謝料などでお困りではありませんか
元調停委員・行政書士夫婦が離婚・相続の解決をお手伝いします。

精算的財産分与で2分の1ルールが適用されない場合

精算的財産分与の精算割合である寄与度については、原則的に夫婦平等の寄与とされて、所謂2分の1ルールが適用されますが、寄与度に格差が認められる場合もある。

①特別な資格や能力、②就労形態、③就労の程度、④一方のみの家事労働、⑤負の貢献・寄与、⑥特有財産の支出等により、寄与度の格差が認定されている。

夫婦の一方の特別な資格や能力によって高収入が得られ、その結果非常に多くの財産が形成された場合は、一方の固有な能力に基づいて形成された部分が大きいとして、寄与割合を変更する場合が多い。医師、弁護士、スポーツ選手、作家や経営者などが、特別な資格や能力の例とされているが、あくまで、資格等がなくても可能なレベルを遙かに超える蓄財をした場合に格差が認められる。尚、スポーツ選手の場合は、稼働期間が短く、加齢によって収入が維持できなくなる代償として高収入が得られているとも考えられ、生涯報酬の前払いという側面(給与の一定程度は離婚後の収入と見做す)から寄与度を考慮することもできよう。

非常に過酷な環境に身を置く等の就労形態の特殊性から高収入が得られている場合、財産形成の寄与度に格差が認めらことが公平だとされる場合がある。1年の大半を海上で勤務する一級海技士に7割の寄与度が認定された裁判例がある。

夫婦の双方が就労しているが、一方が怠惰や責められるべき事情で極端に就労時間・就労の程度に差がある場合は、寄与度に差が認められる。反社会的集団に属して就労せずに妻だけを働かせてきた夫や、服役期間の長い者などは寄与度が低くされる。一方、疾病で就労できない場合は、他方に生活保持義務があるので、就労しなかったことを理由に寄与度を低くするのできないであろう。

双方の収入がほぼ同等で、妻だけが専ら家事に従事していた場合、家事労働を財産形成に関して評価しないのは不公平であり、実際の裁判例で、妻6:夫4の寄与度が認定された例がある。

夫婦の一方がギャンブル等により財産を浪費した場合は、財産形成への負の寄与として寄与度に反映させることが多い。但し、浪費か否かは、支出目的が個人的なもので、かつ浪費額が夫婦の資産・収入に比して常軌を逸しているかで判断されるべき。一方の特有財産を浪費した場合も負の寄与度が認められるべきであるが、浪費された反面で、プラスの財産が形成されている時は、特有財産の浪費額を、財産形成に対する特有財産の持ち主の寄与度に反映すべきであろう。特有財産を一旦費消して、その後蓄財した場合、特有財産浪費と蓄財の間に関連性がなければ、費消された部分に相当する額を寄与度への反映ではなく、特有財産そのものにすることは理屈上はできないが、考慮されるべきとの意見もある。

婚姻前の預貯金や相続で取得した金銭等を不動産の頭金とした場合は、寄与度に反映させる考え方もあり得るが、特有財産とすることが通常であろう。一方、婚姻前の預貯金を生活費等に支出した場合、結果的に財産が形成されている場合は、特有財産として認められなくても、寄与度に反映はされるべきであろう。

参照資料:「離婚に伴う財産分与ー裁判官の視点に見る分与の実務ー」松本哲泓著(新日本法規出版、2019年8月)

電話・メールでのご相談

ご相談は面談が原則です。電話・メールで、ご相談内容と面談希望日をお伝え下さい。
すみませんが、無料相談は受け付けておりません。

メールは24時間受付ですが、返信に最大2営業日ほど頂く場合もございます。

    お問合せ事項 (複数可)

    ページトップへ戻る