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精算的財産分与の2分の1ルールと夫婦の職業形態との関係ついて

精算的財産分与の精算割合である寄与度については、裁判実務では、以下の通り夫婦平等とするのが原則とされている。

「特段の事情がない限り平等を原則として、寄与度の差が大きく。これを考慮しないと実質的に公平と言えない場合を例外としている」(「東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情[第3版]」P28)

裁判所外の実務でも、精算的財産分与の寄与度については、広く2分の1ルールが採用されている。

経済活動に対する夫婦の協業・協同態勢から、①共働き型、②専業主婦型、③家業従事型に分けられますが、いずの類型においても2分の1ルールが原則である。

共働きの場合も、原則として平等であり、夫婦の収入に多少の差があっても、特段の配慮をしないとされている。昭和38年の審判例において、夫婦の収入比で寄与度を判定したものがある。しかし、夫婦はそれぞれの能力に応じて婚姻費用を拠出している筈で、当事者の一方が、収入が少ないことに明白な怠慢等が認められない限り、2分の1ルールを適用すべきである。賃金の男女差が解消されず、共働きといっても、妻のパート労働が多い現状を考慮すれば、収入差に関係なく一律2分の1ルールが適用されるべきである。(夫婦の収入が同等で、妻が専ら家事を担っていた場合に、妻6:夫4の寄与度が認められた例もある。)

夫婦の一方のみに収入があり、他方が、専らあるいは主として家事・育児に携わるいわゆる専業主婦型(パート労働の場合も該当するでしょう。)の場合も、以下理由から寄与割合は平等とされます。

  1. 稼働する夫婦の一方が収入を得られるのは、他方の家事労働や育児に支えられているから。
  2. 夫婦の一方の名で取得された収入も、夫婦間の生活保持義務(自己と同レベルの生活水準を保証する義務)により、夫婦の生計の資とすべきもの。その夫婦の生計の資とすべき資金を原資にして形成された財産についての寄与は平等。

家業従事型では、一方が特有財産から家業用資産を提供して経営し、他方は、主として労務のみ提供したり(時には経営にも関与)、他方が家事一般を担当することも多い。家業が、一方の特殊な技能や経験で成り立っていて、他方の貢献が補助的なものに止まる場合は、寄与度に格差があり、必ずしも2分に1にならないというが従来の考え方であった。しかし、一方が、必ずしも特殊な技能や経験をもつ場合と限らないし、他方の貢献が補助的であっても、家事育児を担当するのが一般的であるから、原則平等とすべき意見もあり、双方が相応の貢献をしていれば、平等とした裁判例も多い。妻が料亭の女将として稼働した事例や、家業の経理、営業業務に従事しながら家事育児を担当した事例などで平等の寄与が認められている。

家業が法人化している場合でも、夫婦双方が経営や営業に携わっている場合は、家業従事型として取り扱ってよい。又、、夫が家業に従事し、妻は他に勤務している場合は、共働き型と家業従事型の複合型と言え、原則平等とすることでよいようである。

尚、夫婦の一方の両親等も家業に従事する場合は、財産分与対象財産は、両親の寄与による形成財産を除外して判断されべきである。

参照資料:「離婚に伴う財産分与ー裁判官の視点に見る分与の実務ー」松本哲泓著(新日本法規出版、2019年8月)

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