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相続放棄の方法ー配偶者・子の場合

被相続人の負債が資産より明らかに上廻る場合は、相続債権者から被相続人に代わって債務履行を迫られるリスクを避けるために、自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所で相続放棄か、限定承認の手続をすべきです。(限定承認は、条件的に厳しく、実際にはあまりないことから、ここでは、相続放棄の手続のみ説明。)

但し、被相続人の死後にキャッシュカード等を使って預金を引き出す等、相続財産の一部でも処分した時は、単純承認したものと見做される(法定単純承認、民921条1号)ので、相続放棄はできなくなります。被相続人が生前多額の負債を負っていて且つ自己破産していないなど相続人が絶対に相続放棄すべき場合においては、被相続人に属する金銭等を取り扱う時には、慎重すぎる程に慎重に対処すべきです。

相続を承認するか(単純承認と限定承認)、相続放棄するかは、相続開始後3ヶ月で決定する必要があります。この3ヶ月の期間は、熟慮期間と呼ばれ、各相続人が被相続人の積極及び消極財産の有無や具体的状況等を調査して承認か放棄かの選択する期間と解釈されています。熟慮期間は、家庭裁判所に審判申立をして、伸張することができます。(民915条但書)

熟慮期間は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から進行しますが、具体的には、①相続開始の原因となる事実(死亡、普通失踪であれば生死不明になって7年経過等)②これにより自己が法律上の相続人となったと知った時を起算日とするのが判例です。(大審院決定大正15.8.3、単に死亡等の相続開始の原因事実 を知っただけで足りるとした従来判例を変更)

被相続人の債務、特に保証債務は相続開始後かなりの時間が経過してから判明する場合も少なくなく、家裁の相続放棄受理審判で却下された後の高裁への抗告審や家庭裁判所で受理された相続放棄申述の有効性をめぐって相当数の抗告及び訴訟が提起されています。

対審構造(双方当事者が反対の主張を行って裁判所が判断を下す手続)をとっていない家裁での相続放棄受理審判は、訴訟での有効性を保証されておらず、債権者との訴訟でその有効性が否定される場合もあります。(訴訟手続用語で「既判力がない」と言います。)抗告審や訴訟では、起算点を、債務を知った時期等に遅らせる等、例外措置が認容される場合があります。

例外措置をとる基準については、昭和59年の最高裁の判例(最二判昭和59.4.27)がリーディングケースとなっています。この判例を限定的に捉えるか、非限定的に捉えるかで両説があります。(最高裁は限定説をとっていると主張する向きもあるようですが—)相続放棄申述の受理審判では、できるだけ受理する方向で扱う非限定説がとられ、訴訟では限定説がとられているとの説もあります。実際に、家庭裁判所では殆どの相続放棄申述が受理されているようです。

しかし、原則は、自己のための相続の開始があったことを知った時から3ヶ月です。仮に訴訟に勝ったとしても、莫大な時間と弁護士費用を要します。危険を感じたら、まず熟慮期間の伸張をして、よく調査してから、伸張期間内に、相続放棄の申述をするか承認の選択をすべきです。

相続放棄の手続は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、「相続放棄の申述書(シンジュツショ)」(民938条)を提出することによって行います。申述書の添付書類は、被相続人の住民票の除票、被相続人の除籍謄本、申述人と被相続人の身分関係がわかる戸籍、申述人の現在の戸籍謄本と共に提出することによって行います。(尚、申述書の添付資料は、放棄者と被相続人の身分関係によって異なります。)

とりあえず、熟慮期間に申述書を提出さえすれば、添付資料は追完資料として後から提出することで問題ありません。短期間に戸籍資料の収集等煩雑な手続をしなければなりませんが、追完(ツイカン)というやり方で時間をかせげます。(さはさりながら、被相続人の住民票の除票と除籍謄本程度は、申述書と共に提出すべきでしょう。)

法定単純承認と見做されない為の配慮ー年金・死亡保険金の扱い

相続人が相続財産の一部でも処分した時は、単純承認したものと見做される(法定単純承認、民921条1号)ので、相続放棄はできなくなって、被相続人の負債を引受けざるを得なくなります。その観点からは、被相続人の預貯金や年金の処分が問題となります。

相続人が法定単純承認と見做されないように、多額の負債を負っているが、自己破産宣告を受けていない方の日常の過ごし方についての注意点を記述します。自分の死後の債務承継問題を考慮すると、極力現金主義の生活をして、死後に預貯金などの相続すべき資産を残さず、相続人が預貯金を処分しなくても済むようにすべきです。年金は差押禁止債権ですが、振込口座に年金が入金後は直ちに現金で引き下ろし、預金残高を最小限の額に留めるべきでしょう。

生命保険金も、死後支給の年金も遺産ではないので、その処分をしても法定単純承認とは見做されません。

生命保険の死亡保険金

民法上は、第三者のためにする契約に基づく履行により支払われる金銭なので遺産ではありません。生命保険金の受取人は、法定単純承認のことを気にすることなく、保険金を自由に処分できます。尚、ややこしいことに、相続税法条は、生命保険金は相続税の課税対象となります。

生命保険金は民法上の相続財産ではないので、相続放棄していても問題なく受け取れます。

厚生年金

結論から言うと、死後に支給される厚生年金は、未支給年金であって遺産ではありません。

受給者が5月1日に死亡したとすると、年金保険法上5月分の年金までフルに受給できます。受給者は、6月15日に4、5月分の年金支給を受ける権利をもっていて、その年金は未支給年金という未払金の形式で存在しています。通常は、死亡届と同時に、年金受給の停止手続きの一貫として「未支給年金・保険給付請求書」を提出して、未払金を受け取ることができます。

この未支給年金の受けとれる者として、年金保険法は、民法上の相続とは無関係に独自に順位を決めています。受給者と生計を一にしていた①配偶者②子③父母等々の順番を指定しています。遺族の生活保障という側面から受給順位を定めたものなので、未支給年金は遺産ではなく相続の対象にはならないことが最高裁の判例で確認されています。(最判平7年7月11日)

未支給年金は遺産・相続財産ではないので、相続放棄していても問題なく受け取れます。

受給者が5月1日に死亡して、6月15日に4,5月分の年金が実際に振り込まれてしまった場合は、年金事務所と連絡をとってその処分を行って下さい。勝手な処分は禁物です。

相続放棄・熟慮期間の伸張

熟慮期間は、原則的に、①相続開始の原因となる事実(死亡等)及び②死亡等により自己が相続人となった事実を覚知した時から起算して3ヶ月です。この熟慮期間は延長できますが、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に審判の申立が必要です。

被相続人の債務、特に保証債務は相続開始後かなりの時間が経過してから判明する場合も少なくなく、家庭裁判所で受理された相続放棄申述の有効性をめぐって少なくない訴訟が提起されています。(家庭裁判所での相続放棄受理審判は、訴訟での有効性を保証されていませんー「既判力がない」と言います。)起算点を、債務を知った時期等に遅らせる等、限定的に、例外的措置が認容される場合もあるようです

しかし、あくまで原則は、自己のための相続の開始があったことを知った時から3ヶ月です。仮に訴訟に勝ったとしても、莫大な時間と弁護士費用を要します。危険を感じたら、まず塾路期間の伸張をして、よく調査して、伸張期間内に、相続放棄申述をするか承認の選択をすべきです。

  1. 必要な資料:申立書以外の添付資料は、後述の相続放棄の申述と同一です。期間の伸張審判申立で提出した住民票除票や戸籍資料は相続放棄の申述にも使用できるので、審判申立時の1部で相続放棄の申述手続をできます。(家庭裁判所は被相続人別に記録を管理しています。)
  2. 費用(2021年現在):収入印紙:800円、郵券(切手):84円×4枚、10円×4枚、計376円分
  3. 本人確認資料(運転免許、保険証)及び認め印

相続放棄の申述(配偶者・子・孫の場合)

必要資料

  1. 相続放棄申述書:相続放棄申述を受理する審判の申立書です。裁判所に受理を求める審判(家事事件手続法別表第一事件)で、財産分与審判等対審構造をとって当事者が対立して争う性質の事件(別表第二事件)とは異なります。裁判所の審判の結果は、「受理」か「却下」で、却下の場合は、高等裁判所に即時抗告して異議申立てができます。
  2. 住民票除票・戸籍資料
    【配偶者】
    ・被相続人の住民票の除票→家庭裁判所管轄の確認
    ・被相続人が除籍された戸籍謄本(3ヶ月以内←配偶者も記載)
    【第一順位者―直系卑属(子・孫)】
    ・被相続人の住民票の除票
    ・被相続人が除籍された戸籍謄本
    ・被相続人と子との身分関係がわかる戸籍謄本(子が婚姻している時は、子が除籍されている戸籍謄本―改製原戸籍等)
    ・子が死亡していて代襲者がいる場合は、子が除籍された戸籍謄本と子と代襲者の身分関係がわかる戸籍謄本ー子の生誕から死亡までの一貫した戸籍(改製原戸籍等)
    ・申述人の現在の戸籍謄本(3ヶ月以内)
  3. 本人確認資料(運転免許、保険証)及び認め印

費用(2021年現在)

  • 収入印紙:800円、郵券(切手):84円×4枚、10円×4枚、計376円分

相続放棄申述書の提出方法

相続放棄申述書に収入印紙を貼付し、戸籍書類等と前記郵便切手を同封してを家庭裁判所(支部)家事受付係に郵送する。(家裁に出頭することは不要。しかし、複雑なケースでは、別途家裁から照会があったり出頭要請がある場合もあり。)

海外居住書も、郵送で手続できるので、わざわざ帰国して出頭する必要はない。但し、裁判所は海外に書類を送付・送達しないので、兄弟等日本国内のを送達場所とする送達場所等届出書を提出する。(1の送達場所として(4)のその他の場所を選び、2に兄弟等の氏名と関係を記す。)

送達場所等届出書 (出所:広島家庭裁判所HP)

尚、各本人は申述書提出日の3ヶ月以内に取得した本人の戸籍謄本は必須の添付書類であるが、他の兄弟等が被相続人の除票・除籍謄本その他の戸籍謄本を提出している場合は、「その他の戸籍等の必要書類は、弟○○○○の添付書類を参照下さい。」とのメモ書きを添付するだけでよい。

未成年者の相続放棄

成年は、2022年4月から18才となります。2022年4月以降は、18歳未満の者の相続放棄についての注意点です。通常は、親権者が法定代理人として子の相続放棄の代理手続をします。

しかし、親権者と子が共同相続人で 、親権者が相続放棄せずに子のみが相続放棄する場合(親権者の相続分を増やすための相続放棄という見方もできるので)や複数の子の一部の子のみを親権者が代理して相続放棄をする場合は、親権者と子の利益相反があるために、家庭裁判所での特別代理人の選任が必要となります。気をつけて下さい。

上記の場合で、親権者が子より先に相続放棄をした後に、子全員の相続放棄する場合は、利益相反はなくなるので特別代理人は不要で、親権者が法定代理人となって未成年の子の相続放棄ができます。相続放棄の順番に気をつけて下さい。

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