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亡父の養父が亡くなったら子は必ず代襲相続できますか?

相談者:亡父の養父が亡くなった男性

父が5年前に50才で亡くなり、父の養父が最近85才で亡くなりました。養父はかなりの資産家で、養父には、妻と3人の実子がいますが、遺言書はありません。父が生きていれば、父は3人の実子と対等に8分の1の法定相続分があるので、当然私も父の代襲相続人として8分の1の相続ができる筈ですが、この理解で正しいですか? 尚、父と養父が養子縁組したのは、1992年8月(父25才、養父55才)で、私が生まれたのは、1991年5月です。

回答:家族問題専門行政書士

養父と血族関係のある実子の子は、必ず代襲相続人になりますが、血族関係のない養子の子は誰でも代襲相続人になる訳ではありません。確かに、養子と養親とその血族の間には、血族間におけるのと同一の親族関係にあります。しかし、養子の子は、養子縁組の日から誕生(又は、養子縁組)した場合に限り、養親との間で親族関係があるので、あなたの場合は、父の養父との間の親族関係は否定されますので、残念ながら、あなたの場合は、代襲相続人になれません。

養子縁組が成立すると、その効力として養子は養親の嫡出子として扱われます。(民法809条 養子は縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。)この条文からは、養子の子は誰でも、法的には、養親の孫として扱われて、代襲相続できるように見えます。

しかし、民法には「養子」と「養親及びその血族」との親族関係が発生するのは、養子縁組の日からと規定した条項があります。(民法727条 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけると同一の親族関係を生じる。)

民法727条には、「養子と養親及びその血族との間において」と明記されていて、「養子及びその血族・養子と養親及びその血族との間において」とは書かれていません。民法727条の反対解釈から、養子の血族・養子は、養子縁組の日以降に誕生(又は、養子縁組)した場合に限り、民法809条から、養子は養親の嫡出子となるので、養子の実子や養子は、養親との間で親族関係が生じて、代襲相続人となります。(必ずしも、実子だけでなく、養子も含まれることに気をつけて下さい。)

尚、養父の死亡後に養子が死亡した場合は、代襲相続ではなくなります。養子が未だ相続の承認・放棄をしていない場合は、養子の相続人の地位が配偶者を含む養子の法定相続人全てに承継(再転相続)されるので、養子の子は、出生時期や縁組時期に関係なく全て相続人(再転相続人)になります。改めて再転相続人全員の相続の承認・放棄手続を経て、相続又は相続放棄をします。

又、養子が養父の相続の承認して遺産分割協議前に死亡した場合、養子の相続権は既に発生しているので、同じように養子の配偶者を含む法定相続人全てが養父の相続(数次相続)をします。この場合は、もはや相続の放棄はできないので、相続分比率に応じて債務を承継します。

代襲相続

代襲相続は、被相続人の死亡前に、子や兄弟姉妹(被相続人に子や配偶者がいない場合)が死亡してしまった場合、本来の相続人の代襲・代替として「直系卑属」の子が相続人となることを言います。子や兄弟姉妹の配偶者は相続人から除外されます。

直系卑属の「直系」とは、血筋が一直線に親子関係でつながる親族を言い、同じ祖先経由で横に枝分かれして繋がる兄弟姉妹、従兄弟、叔父叔母などの「傍系」親族の反対概念です。「卑属」とは、自分より後の世代の親族を言うので、「直系卑属」とは、子、孫、曾孫等を言います。

死亡して代襲される者が子か兄弟によって、代襲相続人の範囲が異なります。

  1. 被相続人に先立って第一順位の相続人である子が死亡した時は、孫やひ孫が2代に亘って代襲します。(民法887条2項 被相続人の子が、相続開始以前に死亡した時、(一部略)その者の子が代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りではない。3項 前項の規定は、代襲者が、相続開始以前に死亡し、(一部略)その代襲相続権を失った場合について準用する。)
  2. 被相続人に先立って第三順位の相続人である兄弟姉妹が死亡した時は、は甥・姪の1代のみが代襲します。(民法889条2項 第887条第2項の規定は、前項第二号の場合―兄弟姉妹のことーについて準用する。←第887条第3項は準用されていない。)

再転相続・数次相続

再転相続は、被相続人(甲)が死亡して相続が開始した後で、第一順位の相続人である子(乙)や第三順位の相続人である兄弟姉妹(乙)が、被相続人の相続について承認・放棄をしないで死亡してしまった場合、それぞれ孫やひ孫及び甥・姪が、親(乙)の「相続人としての地位」を再転相続人(丙)として引き継ぐことを言います。

甲の相続は開始していますが、乙の承認・放棄はまだなので、丙が承認・放棄手続を行い、相続を承認する場合は、甲の他の相続人と遺産分割協議することになります。

乙の実子・養子は、誕生日や縁組日に関係なく全員相続人となり、乙の配偶者も含めて法定相続人全員が再転相続人になります。

尚、乙が相続を承認して、遺産分割協議前に死亡していた場合は、乙の相続権は乙の生前に発生しているので、前項同様、乙の法定相続人全員が、乙の甲に対する相続権を承継して、乙の他の相続人と遺産分割協議をします。(数次相続)ただし、再転相続と異なり、もはや、相続放棄ができず、相続分に応じた債務の承継を義務づけられます。

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