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財産分与や夫婦間贈与特例でも不動産取得税は課税、計算方法も解説

不動産取得税は、売買・贈与・財産分与等によって土地又は家屋を取得した時に課税される都道府県税です。離婚時の財産分与で取得した場合でも、贈与税は原則課せられませんが、東京都の居住者以外は、不動産取得税は課税されます。尚、夫婦間の居住用不動産の贈与の特例(20年以上の婚姻歷のある夫婦間の居住用不動産の贈与は、2,000万までは贈与税は非課税)の適用を受けた場合でも不動産取得税は課税されます。

相続による取得には、原則として、不動産取得税は課せられません。取得原因が、経済的取引(=対価を伴う取引)ではないからです。

不動産取得税の税額は、不動産の価格(課税標準)に土地、住宅である場合は3%、非住宅である場合は、4%の税率を掛けた額になりますが、①宅地、②一定の基準を満たす住宅、③住宅と共に宅地を取得する場合は、控除額など課税標準についての優遇や税の軽減措置があります。尚、上記税率は、平成20年(2008年)4月から令和6年(2024年)3月までに取得した不動産に適用されます。(2021年度時点)

土地・家屋とも、課税の対象となる価格は、固定資産課税台帳に登録された価格であり、実際の購入価格や建築工事費ではありません。更に、地目が宅地である場合は、固定資産評価価額額の2分の1が課税標準になります。(宅地であれば、住宅が建っているか否かに拘わらず適用されます。)

宅地とその上に建つ住宅の取得時期が1年以内の差であれば、居住用不動産の取得であると見做して、宅地の取得税についての軽減措置があります。(詳細は次項以下を参照)

固定資産課税台帳の価格の調べ方

各年の地方自治体からの固定資産税納税通知書の課税明細書部分に必ず明記されています。納税通知書が見当たらぬ場合は、都道府県税事務所(政令指定都市では市役所)で、有料で固定資産課税台帳の閲覧か固定資産評価証明書を取得すれば判明します。

尚、敷地権付きマンション(通常はこの形態)の場合、固定資産税納税通知書の課税明細書の土地の価格はマンション敷地全体の固定資産評価価額です。別途敷地権割合をかけないと自分の保有する敷地権の宅地価格にならないことに注意して下さい。

住宅の不動産取得税

下記の3条件に合致する場合は、住宅の価格は、建築年により定められた一定額が控除されるという優遇措置があります。(令和3年度現在)

  1. 居住要件:個人の居住用住宅
  2. 床面積要件:50㎡以上240㎡以下
  3. 耐震基準要件:昭和57年(1982年)1月1日以降の建築又は昭和56年12月31日以前の新築住宅で新耐震基準に合致しているとの証明書があるもの

住宅価格の控除額は以下の通り。

新築年 控除額
平9年(1997)4月~ 1400万
平元年(1989)4月 ~平9年3月 1000万
昭60年(1985)7月~平元年3月 450万
昭56年(1981)7月~昭60年6月 400万

 【税額の算出方法】
(住宅の価格ー控除額) × 3% = 税額

宅地と住宅を取得する場合の宅地の不動産取得税

 宅地を先行取得後1年以内に新築住宅やその上の中古住宅を取得するか、新築住宅や中古住宅を先行取得後1年以内に底地である宅地を取得した場合は、宅地の取得税について45,000円又は次の式で算出される税額のどちらか大きい税額が減額される。

減額額=土地1㎡価格(固定資産評価額の1/2)× 住宅床面積の2倍(200㎡限度)×住宅持分比率×税率3%

【税額の算出方法】
宅地価格×1/2× 3% =当初税額
当初税額―減額額=最終税額

夫婦間の居住用不動産の贈与の特例

20年以上の婚姻歷のある夫婦間で居住用不動産を贈与する場合は、贈与した不動産の固定資産評価価額(not時価)が2,000万円までは国税の贈与税は非課税ですが、地方税の不動産取得税は課税されますので気をつけて下さい。

土地だけしか贈与しない場合は、税額の減額はありません。同時か1年以内に、土地上の建物を取得すれば、前項での算式に基づき、土地への不動産取得税が減額されます。

財産分与時の不動産取得税―東京都の特例措置―

東京都だけ、条例で離婚時の財産分与による不動産の取得に対して、不動産取得税は課税されません。他府県で、同様な条例があるかどうかは解りません。

精算的財産分与は、夫婦共有財産の精算にすぎず、経済取引ではないとの考え方から条例が制定されたと聞いています。従い、不動産の分与が、慰謝料や扶養料と認定される場合は、取得税の課税対象になるようです。不動産の分与が、離婚後における元妻や子の扶養料の一括払いと認められる場合は、贈与税の対象となる可能性は高い点など、国税の扱いと類似しています。但し、慰謝料は、国税では所得とは認定されない点で異なります。詳細は、税理士や税務署、都府県税事務所等にお尋ね下さい。

尚、東京都の居住者であっても、特例を受けるには、「不動産取得税調査申告書」の提出が必須です。行政の裁量的要素が強く、東京都主税局のwebにも全く触れられていません。詳細は、近くの都税事務所の不動産取得税係に問い合わせて下さい。


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