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基準時に存在しないか、その後の滅失財産は財産分与対象にならない。

別居時や離婚時等の基準時に存在しない財産は離婚時の財産分与の対象とならないのが原則です。

夫婦の一方が別居前等に多額の預貯金を払い戻してしまうことは、離婚ケースで少なからず見られます。払い戻した預貯金を自分名義の口座に預貯金していることや、現金で保有していることが認めることができれば、預け替えられた預貯金や現金が財産分与の対象となります。

しかし、他の口座に預け替えしている場合は、通常はそれを証明する手段が殆どないのが実情です。金融機関は、個人情報の保護の観点から、弁護士調査も含めて調査に応じないからです。

訴訟等で、裁判官の職権による金融機関への嘱託調査以外に有効な調査手段はないようです。しかも、裁判官が職権調査に応じるかどうかは未知数です。又、他人名義の口座に預け替えした場合は、打つ手は殆どないかも知れません。夫婦仲が険悪になったら、自分名義の口座は、自分で保全手続をとるべきです。

ギャンブル等に費消して、既に存在しない場合や、引出された預貯金を所在が解らない場合は、財産分与の対象財産とすることはかなり困難になります。

但し、費消された金額や所在不明の預貯金を、財産形成への負の貢献として、一方の配偶者の不動産を含む他の財産分与の寄与度を低くして全体的に調整することは十分に考えられるでしょう。

一方、婚姻中の取得財産は、基準時に存在すれば、その後に火災等で不動産が滅失しても精算的財産分与の対象となります。但し、類焼等の夫婦双方の責任なく滅失した場合や、別居中の適正な額の婚姻費用として消費された場合など正当な理由がある場合は、財産分与対象とはなりません。

しかし、火災で住居が滅失して、火災保険金がおりる場合は、火災保険金が当然に財産分与対象となります。抵当権が、火災等で滅失した不動産の火災保険金に物上代位するのと同じような考え方です。(住宅ローン返済中の場合、金融機関等が火災保険に質権設定している場合が殆どなので、実際には財産分与対象とするのは難しいでしょう。)

参照資料:「離婚に伴う財産分与ー裁判官の視点に見る分与の実務ー」松本哲泓著(新日本法規出版、2019年8月)

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